一口に中華鍋と言っても、歴史的風土と調理技法から大きく2つの系統に分かれます。それが「北京鍋(ペキンなべ)」と「広東鍋(カントンなべ)」です。家庭への導入を検討する際、まず直面するのがこの形状の選択です。
北京鍋と広東鍋の違いを端的に言えば、「片手持ちか両手持ちか」、そして「鍋底の深さとカーブの設計」にあります。北京を中心とする北方の中華料理は、火力が強く手早く炒める料理が中心であり、片手ハンドルでダイナミックに振る動作に適した深い形状へと進化しました。一方、南方の広東料理は、炒め物だけでなくフカヒレの煮込み、大量のスープ、点心を蒸すなど、多用途にじっくりと火を入れる調理が多く、両側に小さな持ち手(耳)が付いた浅めの半球形が重宝されてきました。
家庭用として導入する場合、ガスコンロの五徳(ごとく)上で安定し、手首への負担が少ないサイズを選ぶことが失敗を防ぐ鉄則です。一般家庭のキッチン環境であれば、取り回しの良い直径27cm〜30cm、板厚1.2mmの北京鍋が最も汎用性に優れています。