瓦そばのルーツは、明治10年(1877年)の西南の役にまで遡ります。熊本城を囲む薩摩軍の兵士たちが、野戦の合間に割れた屋根瓦を使って野草や肉を焼いて食べたという古老の言い伝え。これに強いインスピレーションを受けた創業者・高瀬慎一氏が、試行錯誤の末に昭和37年(1962年)に生み出したのが「元祖瓦そば」の始まりです。
単なる奇をてらった演出ではなく、熱伝導率と蓄熱性に優れた特注の日本瓦を用いることで、最後まで冷めずに料理の表情が変化していく独自の調理システムを完成させました。提供された瞬間に立ち上る茶そばの芳醇な香り、甘辛い牛肉の脂が瓦に落ちて弾ける音、そして鮮やかなレモンともみじおろしのコントラストは、まさに五感すべてを刺激するエンターテインメントといえます。
厳選された京都産宇治抹茶を練り込んだ茶そばは、熱が加わることで香りが一層引き立ちます。そこに絡む少し甘めに仕上げられた門外不出の特製つゆは、カツオと昆布の上品な出汁がベース。素材一つひとつの計算されたバランスこそが、遠方からわざわざ足を運ばせる最大の原動力となっています。