歌詞の情感をさらに際立たせているのが、aikoサウンドの真骨頂とも言える音楽的なギミックです。『シアワセ』で用いられるコード進行には、メジャーセブンスやテンションコード、巧みな分数コードが随所に散りばめられています。これによって、明るい長調でありながらもどこか浮遊感と哀愁が漂う、独特のコードトーンが形成されています。
サビに向けて感情が溢れ出すようなメロディラインと、ストリングスが重なるドラマティックなアレンジは、聴き手の感情を強く揺さぶります。単純なハッピーエンドの響きにとどまらない複雑な響きが、歌詞に秘められた多層的な感情を完璧に補完しています。
また、公式MV(ミュージックビデオ)の映像演出も見逃せません。柔らかい自然光が差し込む部屋の中で、時に微笑み、時に物憂げな表情で歌い上げるaikoの姿が印象的に映し出されます。どこか懐かしく、手の届かない記憶のフィルムを見ているかのような質感は、楽曲の持つ温かさと儚さを視覚的にも強調しています。