『シュガー・ラッシュ』の世界を華やかに、そして時にシビアに彩るのが、お菓子をモチーフにした個性豊かなキッズレーサーたちです。
レース界のトップに君臨しプライドが高いタフィタ・マトンファッジ、頭にロウソクを立てた少しおどおどしたキャンドルヘッド、オレンジ風味の衣装をまとったランシス・フラッガーバター、陽気なジュビリーナ・ビン・バナナなど、彼らはキャンディ大王のプロパガンダを信じ込み、欠陥(グリッチ)とされるヴァネロペを激しく仲間外れにします。
この描写は一見すると残酷ですが、児童心理学における「同調圧力」や「集団規範から外れた者を排除しようとする無邪気な排他性」を極めてリアルに投影しています。ラストでヴァネロペが真のプリンセス(王女)として復権した際、処刑を恐れて平伏するレーサーたちに対し、ヴァネロペが「大統領になる」と宣言して復讐ではなく対等な友情を選ぶシーンは、本作の人間的成熟を物語る屈指の名場面です。