一口に梨と言っても、私たちが口にする果実は大きく二つの系統に分かれる。シャキシャキとした爽快な歯ざわりが命の和梨(日本梨)と、ねっとりとした芳醇なアロマを放つ洋梨(西洋梨)だ。それぞれ求められるアプローチは根本から異なる。
和梨の代表格である「幸水」は果汁の多さと強い甘みが特徴で、出始めの時期に冷やしてかぶりつくのが醍醐味だ。続く「豊水」は豊かな酸味と甘みの調和が魅力であり、「二十世紀梨」は澄んだ酸味と透き通るようなシャリ感が根強い支持を集める。和梨は追熟しないため、購入した瞬間が鮮度のピーク。手に入れたら一刻も早く食べるのが基本ルールだ。
対照的なのが洋梨だ。新潟が誇る幻の品種「ル レクチエ」や定番のラ・フランスは、収穫直後はデンプンが多く硬くて食べられない。室温でじっくりと追熟させ、軸の周りにシワが寄り、独特の高貴な香りが漂い、指先で軽く押して柔らかさを感じた瞬間こそが最高の食べ頃となる。このタイミングを見極めずに冷蔵庫へ直行させると、追熟が止まり台無しになってしまうため注意が必要だ。