地鶏の価格高騰、光熱費の上昇。近年の外食産業を取り巻く現実は過酷を極める。チェーン店の多くがコスト削減に走る中、谷氏の選択は真逆だった。「原価が上がったからといって、材料を減らすくらいなら店を畳む」。仕込みの手間を削るどころか、むしろ工程を増やした。
スープのベースとなる水は純水を使用。醤油ダレには全国から厳選した生揚げ醤油をブレンドし、火入れのタイミングを秒単位で管理する。自家製麺に使われる小麦粉も、気温と湿度に応じて加水率を毎日微調整する徹底ぶりだ。合理化とは真逆の職人技。泥臭い手仕事の積み重ねだけが、工業化された外食チェーンには決して真似のできない圧倒的な付加価値を生み出している。