2013年に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録されて以来、世界的な関心は留まることを知らない。農林水産省が定期的に実施している海外の日本食レストラン数調査によれば、登録当時と比較して拠点数は世界中で数百%の増加を見せ、都市部のみならず地方都市にまでその広がりの裾野を広げている。
この爆発的な広がりの背景にあるのは、単なる珍しさやエキゾチシズムではない。季節の移ろいを一皿の上に表現する美的感覚、そして素材そのもののポテンシャルを極限まで引き出す調理法への深い共感だ。かつて西洋料理の主流であった濃厚なソース文化とは対照的に、引き算の美学によって作られる和食の一皿は、世界の料理界に強い衝撃を与え続けている。