ガラガラと引き戸を開けると、そこに広がるのはまるで昭和の銭湯だ。脱衣場のカゴを思わせるインテリア、水色のタイルの壁、そして風呂桶。来訪者が手にするのは、昔懐かしい牛乳瓶に詰められた「温泉プリン」である。手掛けたのは、地元・静岡の食文化を多角的にプロデュースする株式会社フジノネだ。
一時期はシャッター通り化が危ぶまれた温泉街に、若者を呼び戻す仕掛けとして誕生したこの場所。古き良きノスタルジーと新しさが同居する空間演出は、単なる復刻ではない。昭和の浴場文化をZ世代の感覚で「カワイイ」へと再解釈したデザイン戦略が、見事に結実している。