戦後、彼の作品は絵画にとどまらず、装丁本や名作画集、さらには菓子折りのパッケージデザインにまで広がりを見せた。誰もが一度は目にしたことのある親しみやすさの一方で、原画が持つ圧倒的なマチエール(画肌)の魅力は、一握りのコレクターたちを魅了し続けている。
近年の美術品競売業界では、彼の初期作品や油彩画が出品されるたびに世界中のバイヤーによる激しい競り合いが発生している。とりわけ、昭和モダンの熱気をそのまま閉じ込めたような貴重な作品には、過去最高額を更新するプレシャスな値がつくことも珍しくない。ポピュラーでありながらも極めて高い芸術性を誇るという二律背反こそが、現在のオークション市場における熱狂の原動力だ。