転機が訪れたのは2016年の春。公益財団法人日本高等学校野球連盟(日本高野連)は、バックネット裏の前方中央席を少年野球チームの児童たちを招待する「ドリームシート」へと改編する英断を下した。
それまで徹夜組の指定席のようになっていた場所へ、少年野球のユニフォームに身を包んだ子どもたちが笑顔で座る。グラウンドとの距離はわずか数メートル。超高校級投手の唸りを上げる剛速球、甲高い金属音とともに飛び出す打球の迫力を間近で浴びた子どもたちの目は輝いている。高校野球が教育の一環であるという原点に立ち返り、次世代への夢の継承を具現化したこの施策は、甲子園の景観を劇的に、そして温かく塗り替えた。