富田望生という女優のキャリアを語る上で、デビュー作となった映画『ソロモンの偽証』(2015年)を避けて通ることはできない。当時まだ10代前半だった彼女は、大規模オーディションを勝ち抜くなかで、成島出監督から「あと15キロ太ってほしい」という過酷なオーダーを受ける。成長期にある少女にとって、体型を激変させる決断がどれほど重いものだったかは想像に難くない。
しかし彼女は迷わず食べることを選び、見事に役柄の肉体を獲得して見せた。日本の映画産業において、ここまで徹底して役に我が身を捧げる若手俳優の登場は鮮烈だった。スクリーンの中で彼女が放った圧倒的なリアリティと存在感は、瞬く間に映画関係者や批評家の心を掴み、演技派としての確固たる礎を築くこととなった。