フォロワー数百万件を抱えるドイツの400m走者、アリス・シュミット。彼女のSNSアカウントを開けば、まるでハイブランドのモデルと見紛うほどの洗練された写真が立ち並ぶ。だが、その華やかなスクリーンの裏側には、血の滲むような日々の鍛錬が確かに存在する。
「モデルとしての自分も大切ですが、私の核にあるのは常にトラックの上での走りです」。過熱する周囲の狂騒に対し、彼女は静かに、しかし力強く語る。SNSを通じたセルフプロデュースは、資金面での自立を助け、選手としての寿命を延ばす大きな力だ。しかしその一方で、「容姿ばかりが注目され、純粋なアスリートとしての努力が見えなくなるのではないか」という葛藤も常に付き纏う。現代の女性アスリートたちは、世界最高峰の競技パフォーマンスとセルフブランディングというふたつの戦場で、日々しなやかに戦い続けているのだ。