神保町は、数々の文学や映像作品の舞台としても愛され続けてきた。映画化もされた小説『森崎書店の日々』に描かれたのは、人生に迷った主人公が古書と人々の温もりに触れて再生していく姿だ。作中に登場するような小さな書店の佇まいは、街のあちこちに今も息づいている。
また、辞書編纂に情熱を注ぐ人々の姿を丹念に描いた『舟を編む』の世界観も、出版社のビル群と古書店が隣り合う神保町ならではのリアリティに満ちている。街の喫茶店で分厚い専門書を開く編集者や、古書店の店主と専門用語で語り合う研究者の姿を見かけるたび、この街全体が一冊の壮大な物語を紡ぐ現場であることを実感させられる。