現場を歩くと、まず突き当たるのがお金の問題だ。正社員と派遣社員の間に横たわる年収の溝は、未だに根深い。厚生労働省が公表する毎月勤労統計や各種調査を見ても、基本給の底上げは進んでいるものの、賞与や退職金の有無が決定的な生涯年収の差を生み出している。
政府が推進する同一労働同一賃金の制度は導入された。だが、派遣先の正社員と同じ仕事をこなしていても、手当や福利厚生の面で完全な公平が保たれているとは言い難い。人材サービス業界の経営層は「交通費の全額支給や時給引き上げは進んだ」と胸を張るが、働く側の実感は冷ややかだ。雇用形態の違い一つで、将来設計の描きやすさがガラリと変わってしまうのが現実である。