ファンやライト層の書き込みで散見される最大の誤解が、「世界選手権で出場枠を獲ってきたチームがそのまま五輪に出場できるはずではないか」という疑問だ。
しかし、JCAの規定において五輪枠取り(国枠の獲得)と、国内代表チームの選定は明確に分離されている。国枠を獲得したクルーであっても、代表決定戦で敗れれば五輪の舞台に立つことはできない。過去にも世界選手権で上位に食い込み枠を持ち帰ったチームが、国内決定戦で涙を呑むドラマが繰り返されてきた。
この二重構造に対してはネット上で「残酷すぎる」「枠を取ったチームに権利を与えるべき」という同情論が度々巻き起こる。だが、強化本部が重視しているのは「五輪開幕の瞬間に最も調子が高く、世界ツアーで勝率を残せるチームを送り出す」という実利性だ。過去の栄光や実績に甘んじることなく、直前の緊張感の中で勝ち切る勝負勘こそが、五輪本番でのメダル獲得に直結するという確固たる信念がここにある。