エビアレルギーを発症している人がカニを安全に食べられるかという問いに対して、臨床医学の観点からの回答は「極めてリスクが高く、原則として避けるべき」となります。この結論を裏付ける最大の根拠が、筋肉収縮に関わる筋原線維タンパク質の一種であるトロポミオシンの存在です。
甲殻類アレルギーを引き起こす主要な原因物質(アレルゲン)は、このトロポミオシンであることが解明されています。エビとカニの双方が持つトロポミオシンは、アミノ酸配列の相同性(似通っている割合)が80%以上と極めて高く、免疫システムが両者をほぼ同一の敵として認識してしまいます。この現象を医学用語で交差反応と呼びます。
日本小児アレルギー学会や日本アレルギー学会の診療の手引き等でも示されている通り、エビに対してアレルギーを持つ患者の約70%〜80%がカニに対しても陽性反応を示します。生化学的に同一の構造を持つタンパク質が含まれている以上、「エビはダメだがカニなら平気」と思い込むのは極めて危険な賭けと言わざるを得ません。