こうした多面的なシンボリズムのルーツを語る上で欠かせないのが、西洋の文化的基盤であるギリシャ神話の存在だ。英雄テセウスが怪物ミノタウロスを退治するために旅立つ際、貧しい農夫アスファロスが彼を励ますために差し出した食事に、野の草花として登場するのがダンデライオンの起源とされる説がある。
無謀とも思える過酷な試練へ挑む英雄に授けられたささやかな野草。そこには「苦難に立ち向かう勇気」と「変わらぬ真心」が込められていた。荒地でもたくましく根を張り、踏みつけられても花を咲かせる力強さは、神話の時代から人々に強い印象を与え続けてきた。まさに、単なる可愛らしさにとどまらない逞しさが、神話の英雄譚と響き合っている。