台風が通り過ぎて青空が広がり始めても、新幹線がすぐに動き出すわけではない。乗客から「空は晴れているのになぜ動かないのか」という不満が聞こえることもあるが、ここには鉄道運行ならではの過酷な安全確認プロセスが存在する。
運転再開に向けたプロセスは、風雨が収まった直後から始まる。まず保線員や点検車両が線路全線を走らせ、飛来物が架線に引っかかっていないか、沿線の斜面から土砂が流入していないか、架線柱や信号設備に破損がないかを物理的に確認する。特に強風による架線の切断や異物付着は目視での点検が不可欠だ。さらに、線路下の路盤に水が溜まっている場合は水が引くまで試運転すらできない。晴天に戻ってから実際の運行再開までに2〜4時間程度のタイムラグが生じるのは、こうした手作業による安全点検が行われている証拠なのだ。