トム・クルーズの飛行機操縦が「フェイクではない」決定的な証拠は、米連邦航空局(FAA)に裏打ちされた30年におよぶパイロットライセンスの経歴にあります。彼が飛行訓練を始めたきっかけは、社会現象を巻き起こした1986年の名作『トップガン』の撮影現場でした。当時、海軍の戦闘機パイロットたちと寝食を共にし、飛行の魅力に取り憑かれたトムは、1994年に正式に自家用操縦士免許(PPL)を取得しています。
彼が保有する飛行機免許の種類は、一般的なプライベートパイロットの領域を大きく超えています。基本となる単発機(シングルエンジン)はもちろん、双発以上の多発機(マルチエンジン)、悪天候や雲中でも計器のみを頼りに飛行できる「計器飛行証明(インスツルメント・レーティング)」、さらには商用運航が可能な事業用操縦士レベルの資格やジェット機を操縦するための「型式限定(タイプレーティング)」まで網羅しています。
特に業界関係者を戦慄させたのが、ヘリコプター免許の操縦技術です。2018年公開の『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の撮影に際し、トムはわずか数か月間で2,000時間以上の訓練に匹敵する超高密度プログラムを消化。難関とされるエアバス・ヘリコプターズ(H125)の単独操縦ライセンスを取得しただけでなく、狭小な峡谷を縫いながら機体を360度急降下反転させる「コークスクリュー旋回」をスタントなしで自ら成功させました。インストラクター陣が「短期間でここまで到達した民間人は見たことがない」と舌を巻いたその技術力は、ハリウッド随一のリアルパイロットであることを証明しています。