ネット上の掲示板やSNSでは、「12月23日をすぐにでも『平成の日』に改称して祝日化すべきだ」「法改正をサボっているのではないか」といった論調が定期的に散見されます。しかし、ここには祝日法と憲法精神に関する重大な誤解が存在します。
最大の盲点は、「存命中の元号を祝日名に冠することは極めて不自然であり、前例がない」という事実です。昭和天皇が崩御された際も、即座に「昭和の日」ができたわけではありません。崩御直後は追悼の意味を込め、また政治的摩擦を避けるために「みどりの日」という自然を主題にした名称が選ばれました。「昭和の日」が誕生したのは、崩御から実に16年が経過し、昭和という激動の時代を歴史として客観的に総括できる段階になってからでした。
さらに法的な障壁として、祝日法前文が掲げる「自由と平和を希求する国民が、美しい風習を育てつつ、よりよき社会を築きあげるために定めた日」という理念があります。上皇陛下が赤坂の仙洞御所で健やかにお過ごしになっている現在、そのお誕生日を歴史的記念日であるかのように法定義することは、皇室に対する礼を失する行為にあたります。国会関係者の一人は当時の取材に対し、「ご存命中にその治世を『過去の歴史』として記念日化することは、立法府として到底選択できなかった」と明言しています。