現代においてこの言葉の破壊力が改めて日本全体に突きつけられたのが、2016年10月に沖縄県東村高江で起きた警察官による発言問題です。
米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設工事現場において、抗議活動を行う市民らと警備にあたる警察部隊がフェンス越しに対峙する混乱の最中、大阪府警察から派遣されていた20代の男性機動隊員が、抗議側の市民に向かって「どこつかんどるんじゃ、ボケ。土人が」と言い放ちました。さらに別の隊員からも「黙れ、シナ人」といった罵声が浴びせられた様子が動画に記録され、SNSを通じて瞬く間に拡散しました。
この事態に対し、沖縄県民および法曹界、人権団体からは激しい怒りの声が上がりました。沖縄には、1903年の第5回内国勧業博覧会で起きた「人類館事件」(アイヌや沖縄の人々を生きた展示物のように扱い強い反発を呼んだ事件)や、近代国家体制への統合過程で本土から受けた文化的抑圧など、他者化され差別されてきた固有の歴史があります。
当時の沖縄県知事や県議会は強い抗議声明を出し、警察庁長官も「極めて不適切であり、国民の信頼を損なうもの」と公式に陳謝。大阪府警は当該隊員2名を戒告の懲戒処分としました。この騒動は、国家権力の行使現場において、無意識の根底に潜む差別感情がいかに容易に表出するかを証明する衝撃的な事例となりました。