ファンの間で親しまれている「ぼっちちゃん」という愛称ですが、彼女の戸籍上の本名は後藤ひとり(ごとう ひとり)です。秀華高校に通う高校生であり、名付け親は結束バンドのベース担当である山田リョウ。「ひとり」という名前と、極度の人見知りで常に独りぼっちだった性格を掛け合わせて命名されました。
彼女の生い立ちは、幼少期から続く深刻なコミュニケーション不全と切り離せません。友達が一人もできないまま中学時代を過ごし、家庭内でも押し入れに引きこもる日々が常態化。そんな彼女が人生の逆転を賭けて手にしたのが、押し入れの奥で眠っていた父親のエレキギターでした。「バンドをやれば根暗な自分でもチヤホヤされるかもしれない」という、極めて生々しく切実な承認欲求が原動力だったのです。
中学時代からの3年間、1日約6時間におよぶ猛練習を孤独に重ねた結果、彼女は動画投稿サイト上で「ギターヒーロー」というアカウントを立ち上げます。顔を隠して卓越した速弾きやエモーショナルなソロ動画を投稿し続け、登録者数は瞬く間に3万人を突破。ネットの世界では誰もが憧れるカリスマギタリストとしての地位を確立しました。
しかし、現実の彼女はクラスメイトに声をかけることすらできず、話しかけられれば奇声を上げてフリーズする極度の対人恐怖症。この「ネット上の絶対強者」と「現実世界の完全敗北者」という強烈な落差が、後藤ひとりというキャラクターを立体的に際立たせる最初のフックとなっています。