大手レシピ動画サイトや専門コラムの普及により、「強火で表面を焼いてアルミホイルで包む」という基本テクニックそのものは広く認知されるようになりました。しかし、料理コミュニティや知恵袋などの声をつぶさに拾い上げると、現場では依然として「思わぬ落とし穴」に躓くケースが散見されます。
特に目立つのが、「レシピ通りの時間で焼いたのに、中が冷たい生のままだった」というトラブルです。原因を追究すると、大半が「肉の常温戻し」の不足に起因しています。冷蔵庫から出してわずか5分程度置いただけの肉は、芯の温度がほとんど上がっていません。その状態で動画通りの「片面1分、裏1分」を実行しても、中心部には冷気が居座り続け、余熱でも加熱が追いつかないのです。
さらに、フライパンの材質に対する誤解も多く見られます。薄手のフッ素樹脂加工フライパンは、冷たい肉を入れた瞬間に表面温度が急降下します。料理番組などでシェフが見せる「ジュワーッ」という力強い音が出ず、じわじわと肉汁が滲み出てきてしまい、結果的に炒め物のような仕上がりになってしまうのです。テフロン製フライパンを使用する場合は、油を引いた後にしっかりフライパンを温め、熱が逃げないよう1枚ずつ焼く工夫が求められます。