スーパーやワインショップに足を運ぶと、1,000円台で手に入るスパークリングワインがある一方で、シャンパンはエントリークラスでも最低5,000円〜6,000円以上、プレステージ銘柄になれば数万円から数十万円の値が付きます。この価格差には明確な理由が存在します。
第一の要因は、膨大な製造コストと時間です。タンク内で一括して炭酸ガスを発生させる「シャルマ方式」などと異なり、シャンパンの瓶内二次発酵は1本ずつ瓶内で熟成させ、澱(おり)を手作業や専用の回転台で集めて取り除くなど、莫大な人件費と熟成保管のための設備費用がかかります。
第二に、土地代とブドウ原料の希少性です。シャンパーニュ地方は冷涼な気候であり、病害や霜害のリスクと隣り合わせのブドウ栽培が行われています。土壌の価値が高騰していることに加え、収穫量が厳格に制限されているため、ブドウそのものの取引価格が他の産地に比べて圧倒的に高額になります。
第三に、長期熟成による資本の寝かせ期間が挙げられます。出荷までに最低でも1年以上、高級品では5〜10年もの年月を蔵元で寝かせる必要があり、その間の在庫管理リスクや金利負担がそのまま製品価格へと反映される構造になっています。