がん細胞が血液やリンパ液に乗って背骨(脊椎)に到達する「脊椎転移」も、激しい腰痛の主原因です。背骨は血流が豊富であるため、全身の骨の中でも特に転移が起こりやすい部位とされています。
腰痛を伴うがんの骨転移症状では、骨の強度が著しく低下し、くしゃみや立ち上がりといった日常の些細な負荷で「病的骨折」を引き起こすリスクがあります。特に男性に多い前立腺がんの骨転移による腰痛は、初期の自覚症状に乏しいまま骨病変が先行して発見される例も少なくありません。
さらに、血液のがんの一種である多発性骨髄腫の腰痛サインにも警戒が必要です。骨髄内で異常な形質細胞が増殖して骨を溶かすため、腰や背中の持続的な痛みに加え、高カルシウム血症による強い倦怠感や口の渇きが併発します。中高年以降で「骨粗鬆症による圧迫骨折」と診断された背景に、骨髄腫が隠れていたという症例も報告されています。