「骨折の手術後、ネジを抜かないと体に害があるのではないか」と不安を抱く方は少なくありません。現在、整形外科の骨折固定具として主流となっているのは、生体適合性に優れたチタン合金や医療用ステンレス素材です。これらは体内で錆びたり毒性を発揮したりすることは基本的にないため、一生体内に残しても直ちに深刻な疾患を引き起こすわけではありません。
日本整形外科学会の知見や臨床データによると、特に60代以上の高齢者の場合、再手術による全身麻酔のリスクや身体的侵襲を避けるため、無症状であれば骨折のネジを抜かない選択をするケースが増加しています。しかし、体内放置には以下のような医学的リスクやデメリットが潜んでいることも事実です。
放置する最大のリスクは、長期経過に伴う「骨と金属の過剰な固着」です。チタン製ネジは骨親和性が非常に高いため、数年〜10年以上放置すると骨組織がネジの溝やプレートの隙間に深く入り込みます。その結果、将来的に感染症や再骨折で抜去が必要になった際、ネジ山が潰れて骨を大きく削らなければ取り出せなくなるトラブルが生じます。