揺れを感じた直後に公式情報を確認しても何も出ていない場合、最も多い構造的要因が気象庁の震度発表基準です。気象庁が地震情報(震度速報や震源・震度に関する情報)としてメディアやウェブ上に配信する対象は、原則として計測震度0.5以上(震度1以上)を観測した地震に限られています。
しかし、人間の知覚能力は極めて精緻です。深夜の静まり返った室内で横になっていたり、木造住宅の2階・3階にいたりする場合、人間は計測震度0.5に満たない「震度0(無感地震〜極微小な揺れ)」であっても、かすかな初期微動を体感することがあります。気象庁のシステム上、これらは震度1未満の微小地震として内部処理され、一般向けのニュース速報としては配信されません。
さらに見落とせないのが、地震速報が反映されないタイムラグです。地震が発生してから各地の震度計データが集計され、気象庁から「震度速報」として第一報が配信されるまでには、通常1分半から3分程度の処理時間を要します。揺れた瞬間にブラウザを更新しても画面には反映されておらず、「地震情報がない」と早合点してしまうケースが後を絶ちません。
なお、国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED)が運用する高感度地震観測網(Hi-net)などの微小地震の観測データ速報を解析すると、日本列島では人間が感じ取れないレベルのマグニチュード1〜2クラスの微小地震が毎日数百回単位で発生しています。公の発表基準に達しなかった微細なエネルギーが、たまたま直下の浅い震源から直達波として届いた場合、公式発表のない「謎の揺れ」として知覚されるのです。