高松市讃岐うどんの数ある名店の中でも、手打ちうどん ひさ枝が独自の存在感を放つ最大の要因は、店主である久枝氏の異色の経歴にあります。修行元で伝統の技を叩き込まれる以前、店主は洋菓子の世界で腕を振るっていた元パティシエという経歴を持ちます。このバックグラウンドが、うどん作りにおける緻密な計量、温度・湿度管理、そして素材の組み合わせにおける革新的なアプローチへと見事に昇華されています。
生地の熟成度合いや小麦粉のブレンド、出汁の抽出温度に至るまで、スイーツ作りに通じるミリ単位の探求心がいかんなく発揮されています。その結果生み出される麺は、讃岐うどんならではの力強いコシを持ちながら、シルクのように滑らかな喉越しと豊かな小麦の風味を両立しています。伝統をリスペクトしつつも既成概念にとらわれない柔軟な発想こそが、多くのファンを惹きつけてやまない原動力です。