多くの旅行者を驚かせてきた「390円ソーキそば」という価格設定。外食産業において一般的な原価率30〜35%を考慮すると、この価格で大ぶりのソーキ肉を乗せた沖縄そばを提供することは通常不可能です。飲食ビジネスの収益構造を取材してきた編集部が分析したところ、田舎の低価格を可能にしてきた3つの構造的要因が浮き彫りになりました。
第1に、極限まで削ぎ落とされたオペレーションコストです。注文から提供までの時間はわずか数分。お冷や配膳の一部はセルフサービスに近い形で運用され、過剰な内装投資や接客マニュアルを排除することで固定費をミニマムに抑えています。
第2に、驚異的な回転率が挙げられます。店内は長居をする雰囲気ではなく、客は着丼から10〜15分程度で食事を終えて退店します。1席あたりの日次回転数が一般的な専門店の2倍から3倍に達するため、薄利多売のモデルが成立する仕組みです。
第3に、長年の仕入れルートと仕込みの集中化です。歴史ある専門店ならではの肉類や麺の大量一括仕入れにより、仕入れ原価を抑制しています。
なお、昨今の世界的な原材料費高騰や物流コストの上昇を受け、2024年から2026年にかけて一部メニューで数十円〜百円程度の価格改定が行われています。それでもなお、ワンコイン前後(450円〜550円程度)で本格的なソーキそばが食べられる水準を死守しており、那覇市内でトップクラスのコストパフォーマンスを誇る事実に揺らぎはありません。