現在の日本女子の繁栄は、過去30年以上にわたり世界の頂点を切り拓いてきたフィギュアスケート女子歴代選手たちの遺産の上に成り立っています。伊藤みどりが世界で初めて女子のトリプルアクセルを成功させ、荒川静香がトリノでアジア人初の金メダルを獲得。そして浅田真央が世界中を魅了し、宮原知子が研ぎ澄まされた努力の美学を示したことで、日本女子の技術的・精神的スタンダードは世界最高峰へと押し上げられました。
しかし、競技人生の先にある「現実」にも目を向ける必要があります。かつては競技生活を終えると、アイスショーへの出演か指導者への転身という限られた道しかありませんでしたが、現代におけるフィギュアスケート女子引退後の進路は多様化とプロフェッショナル化が進んでいます。
プロフィギュアスケーターとして自らアイスショーを演出し、チケットを即完売させるビジネスモデルを確立する者がいる一方で、大学進学を経てスポーツビジネス、メディア解説、振付師、あるいは一般企業への就職を選ぶ元代表選手も増えています。現役時代に年間数百万円から1,000万円以上とも言われる過酷な遠征費・衣装代・リンク代を負担してきた家族やスポンサーへの恩返しを含め、セカンドキャリアの設計は現役時代から意識される極めて重要なテーマとなっています。