本作の物語を単なるアイドルサクセスストーリーにとどまらせない最大の要因が、死神たちの衝撃的な正体と生前の過去です。作中における死神とは、自ら命を絶った人間が罰として就かされる存在でした。
タクトの本名は吉良託人(きら たくと)。かつて満月の父親である古雅葵とともに伝説のバンド「ROUTE:L」のボーカルを務めていましたが、喉の病気で歌えなくなった絶望からバイク事故で昏睡状態(原作では投身自殺を図った)に陥っていました。また、めろこ(本名:里教)もかつて葵を巡る友人関係のこじれから自死を選んだ過去があり、タクトと満月を巡る運命の糸が複雑に絡み合っていたのです。
さらに、冷徹な死神・いずみリオの過去も読者の涙を誘いました。母親からの虐待や愛憎に苦しんで命を絶ったいずみの記憶は、人間の心の闇と救済のテーマを浮き彫りにしています。彼らが満月と関わる中で自らの過去と向き合い、魂の救済を得ていくプロセスこそが、本作最大の読み応えと言えます。