植物の種子には、発芽するために光を必要とする「好光性種子(こうこうせいしゅし)」と、光に当たると発芽が抑制される「嫌光性種子(けんこうせいしゅし)」が存在します。この性質を取り違えて土を被せる(覆土する)と、どれほど適切な温度や水分を与えても発芽スイッチが入りません。
種苗メーカー各社の栽培指針によると、好光性種子の代表格であるペチュニア、キンギョソウ、トルコギキョウ、ベゴニアなどは、種が微小で自前の栄養蓄積が少ないため、地表近くで光を浴びて即座に光合成を開始できるようプログラミングされています。これらの種に深く土を被せてしまうと、暗闇の中で休眠状態が続いてしまいます。好光性の場合は「土を被せない(種を土の上に置くだけ)」か、「バーミキュライトをレースのカーテンのようにごく薄く振りかける程度」にとどめるのが正しい覆土のコツです。
対照的に、ヒマワリ、コスモス、パンジー、ビオラ、マリーゴールドなどの嫌光性種子は、一定の暗さと湿度を好みます。これらは種子の厚みの約2〜3倍を目安にしっかりと土を被せ、光を遮断することで正常な発芽プロセスが始動します。種のパッケージ裏面に記載されている「覆土の有無」は、単なる目安ではなく植物の生死を分ける決定的な指示です。