インターネット上で頻繁に囁かれる「ポンデライオン 消えた理由」を巡る言説には、さまざまな憶測が飛び交っています。一部の掲示板やSNSでは「キャラクターのライセンス契約が切れた」「デザイナー側と著作権トラブルになった」といった根拠のない噂が一人歩きしていますが、これらは完全な誤認です。ミスタードーナツ(運営:株式会社ダスキン)の公式発表および事業報告資料を精査すると、露出減少の決定打となったのは2013年9月30日をもって新規ポイント付与が終了した「ミスドクラブ ポイントカード」の制度改編でした。
1990年代から2000年代にかけて、ミスドの最大の来店動機となっていたのは「100円購入ごとに付与されるポイントを集めてもらえるオリジナル景品」でした。スケジュール帳、マグカップ、ポンデライオン ぬいぐるみ、さらには大掛かりな重箱や知育玩具まで、ポイント交換景品としてのポンデライオングッズは消費者の収集欲を強烈に刺激していました。ところが、景品交換のために客がドーナツを買い込むプロモーションモデルは、原材料費の高騰やポイント引当金にかかる財務コストの増大という構造的課題に直面します。
2013年秋、ミスドは長年親しまれた自社ポイントカードの廃止に踏み切りました。その後、楽天ポイントやdポイントといった共通ポイントの導入、ならびに自社公式アプリによるデジタルクーポン施策へと決済・販促システムを大きく舵を切ったのです。「ポイントを貯めて限定キャラクターグッズと交換する」という動線そのものが消失したことで、グッズの主役であったポンデライオンが店頭の主役からフェードアウトしていく結果となりました。
さらに追い討ちをかけたのが、店舗空間のリブランディングです。かつてアメリカンポップ調やファミリー向けで賑やかだった店舗デザインは、2015年頃から「ブルックリンスタイル」を掲げた落ち着きのあるシックなカフェ調へと大規模改装が進められました。大人層のカフェ利用やテイクアウト需要を取り込むため、店内の大型立体オブジェやキャラクターの派手なPOPが撤去されたことも、一般消費者に「消えた」と強く印象付ける決定的な要因となりました。