「深さ2ミリ以上のえぐれ傷が100均グッズで元通りになるか」という問いに対する率直な答えは、「遠目には誤魔化せるが、近づけば確実に補修跡がわかる」というレベルにとどまります。
ネット上のショート動画やSNSでは、ダイソーの「キズ補修パテ」やセリアの「木部用補修クレヨン」を擦り込み、傷が魔法のように消え去る映像が拡散されています。しかし、撮影用の強い正面照明と低解像度のカメラアングルを外すと、現場にはまったく異なる景色が広がっています。住宅リペア職人の証言によれば、えぐれ傷の補修で最も難度が高いのは「平滑性の維持」と「周囲のツヤ(光沢度)の一致」です。
100均の木工パテは水分が蒸発して固まる「水性エマルジョン系」が主流です。乾燥時に体積が縮む肉痩せ(体積収縮)が顕著であり、一度平らに埋めたつもりでも、数時間後には中央がすり鉢状に凹んでしまいます。さらに、木目が途切れた単色のベタ塗り状態になるため、斜めから自然光が差し込むリビングでは、傷のあった場所だけが異質なマット状の塊として浮き上がって見えてしまうのです。
大手ネット掲示板や知恵袋に寄せられる「100均で補修したら余計に汚くなった」という悲痛な叫びの多くは、この「乾燥後の肉痩せ」と「木目の消失」を想定していなかったことに起因しています。