ネット上の情報や一般的な会話において、「カモメ科の鳥はすべてカモメと呼んで差し支えない」という大雑把な認識が定着していますが、この認識の曖昧さが野生生物保護の現場で無視できない歪みを生み出しています。
最大の盲点は、観光地における「無秩序な餌付け」の常態化です。遊覧船や防波堤で油分や塩分の高いスナック菓子を与える行為がアトラクション感覚で行われていますが、これは鳥類の内臓疾患を引き起こすだけでなく、彼らの自然採餌能力を著しく低下させます。特にウミネコはイワシやサンマなどの小魚、イカ、甲殻類を自力で捕食する優れたハンターですが、人間の残飯に依存することで漁網の食い破りやゴミ集積所の散乱被害を悪化させ、結果として「害鳥駆除」の対象へ追い込まれる本末転倒な事態を招いています。
また、「カモメの幼鳥」と「ウミネコの幼鳥」の判別難易度の高さもネットの誤解に拍車をかけています。カモメ科の若鳥は、生後1〜3年ほどの間、成鳥のような白と灰色ではなく、全体がまだら模様の茶褐色(幼羽・第1回冬羽)をしています。この茶色い鳥を「新種の鳥だ」「トビの雛ではないか」と勘違いしてSNSにアップロードするケースが後を絶ちません。成鳥の鮮やかなサイン(くちばしの赤黒斑や尾羽の黒帯)が未完成な時期であっても、足の色や嘴のプロポーションを冷静に観察するリテラシーが求められます。