足の甲に違和感を覚えた際、多くの人がまずドラッグストアで湿布(経皮鎮痛消炎テープ)を購入し、患部に貼って様子を見ようとします。しかし、足病医学の観点から言えば、「湿布を貼って歩き続けること」こそが症状を重症化させる最大の落とし穴です。
湿布に含まれるロキソプロフェンやフェルビナクなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、患部の痛覚閾値を一時的に麻痺させ、知覚される痛みを鈍らせます。しかし、歩行時に足の骨へ加わる数百度から数千度の機械的衝撃(バイオメカニカルストレス)は何一つ変わっていません。痛みが消えたと錯覚して普段通りに歩いたり走ったりした結果、内部では疲労骨折が完全に破断したり、関節の変形が不可逆的に進行したりする悲劇が後を絶ちません。
また、ネット掲示板やSNSで頻繁に見受けられるのが「足の甲にできたしこりをテーピングで強く圧迫して潰そうとした」という危険な書き込みです。甲の骨の上にできる弾力のあるコブの多くはガングリオン(関節包から生じる良性のゼリー状腫瘍)ですが、これをテープで無理に押し潰そうとすると、すぐ下を併走する浅腓骨神経を巻き込んで圧迫し、足指全体に消えない激痛や痺れを誘発します。しこりを伴う痛みには圧迫固定ではなく、ドーナツ型パッドを噛ませて靴の圧迫を逃がす除圧テーピングが唯一の正解です。