ネット上のコミュニティやSNS、知恵袋などでは、鍵交換を巡る入居者の困惑や憤りの声が数多く飛び交っています。実際に取材を進めると、管理会社との交渉過程や夜間のトラブル対応において、無知につけ込まれる消費者の実態が浮かび上がってきました。
20代の会社員女性は、都内の賃貸マンション契約時に次のような経験をしたと語ります。「初期費用にディンプルキー交換費用として44,000円が計上されていました。相場より高いと感じて『自分で業者を手配して同じ型番に交換してはダメか』と相談したところ、管理会社から『指定業者以外での交換は契約違反であり、審査を取り消す』と一蹴されました。入居を焦っていたため泣く泣く承諾しましたが、釈然としません」。
一方で、鍵職人としてのキャリアを持つエキスパートたち(「すごわざ鍵開け達人」として知られる田口季良氏をはじめとする専門技能者たち)は、現場の実情について次のように警鐘を鳴らします。鍵のトラブルは往々にして夜間や早朝に突発的に発生するため、焦ったユーザーが検索上位の広告業者に連絡し、数千円と謳われていた作業費が現場で10万円近くに跳ね上がる被害が絶えません。
また、借主が良かれと思って独断で行う管理会社への無断鍵交換トラブルも頻発しています。火災や漏水などの緊急事態が発生した際、管理会社や消防隊はマスターキーや預かり鍵を使って室内に入ることがあります。無断で鍵が交換されていると迅速な初動対応が不可能になり、重大な過失として善管注意義務違反を問われ、退去時に原状回復費用を上乗せ請求されるリスクを背負うことになります。