インターネット上の質問サイトやSNSのボウリングコミュニティを観察すると、「スコアアップのために15ポンドを買ったが、親指が抜けず手首を痛めた」「投球フォームがぐらついてコントロールを失った」という切実な告白が後を絶ちません。
スポーツ医学の観点からも、筋力や関節の可動域に見合わない過重なボールの使用は極めて危険視されています。重力に耐えきれなくなった投球者の体には、以下のような連鎖的なフォーム崩壊が発生します。
第1に、バックスイングのトップで肩が下がりすぎ、上半身の前傾角度が過剰になります。これにより胸郭が開いて投球方向の軸がブレ、スパット(レーン上の目印)を正確に通せなくなります。
第2に、フォワードスイングでボールの重さに引っ張られ、リリースポイントが前方へ流れます。親指の抜けが遅れて「フィンガーが効かない」状態になり、球の回転数が激減。結果としてオイルの上を滑るだけの力のないボールになってしまいます。
さらに長期的には、腱板損傷(回旋腱板の炎症)やTFCC(三角線維軟骨複合体)損傷、いわゆるボウラー肘といった慢性の関節疾患を引き起こします。「スコアを伸ばすための重量選択」が、皮肉にも投球フォームを破壊し、長期離脱を余儀なくされる最大要因となっている現場の実態を見落としてはなりません。