心の問題だけでなく、目の構造そのものに物理的なトラブルが発生しているケースも多発しています。いわゆる流涙症の診断基準において、涙が溢れる理由は大きく分けて「涙の過剰産生」と「涙の排出障害」の2つに大別されます。
前者の代表格が、ドライアイと反射性分泌の関係です。「目が乾いているのに涙が出る」というのは矛盾しているように思えますが、角膜の表面が乾燥して傷つくと、知覚神経が「異物が混入した」と錯覚を起こします。その刺激を感知した脳が、傷ついた角膜を守ろうとして急激に大量の涙を分泌させるため、結果としてポロポロと涙がこぼれ落ちる逆転現象が生じます。特に長時間のディスプレイ凝視や空調の効いた室内環境は、この反射性ドライアイを誘発する典型的な要因です。
一方、涙の通り道である「涙道(るいどう)」に問題が生じるのが後者のケースです。目頭にある涙点から鼻の奥へと涙を流すパイプラインが炎症や加齢によって狭窄・詰まりを起こす涙道閉塞症を発症すると、通常なら鼻腔へと自然に流れていくはずの涙が行き場を失い、目から外へと溢れ出し続けます。特に「風に当たると異常に涙がこぼれる」「朝起きると目やにがびっしり付着している」といった自覚症状がある場合、涙道内部に細菌が繁殖する涙嚢炎(るいのうえん)を併発している危険もあります。