子どもの体調が回復傾向にあるとき、親が最も直面するのが「熱は下がったけれど、まだポツポツと手足に赤い発疹が残っている状態」での判断です。医療現場における共通認識として、手足口病の登園再開において重視されるのは発疹の有無ではなく、「熱が完全に下がっているか」と「普段通りの食事が自力で摂れているか」の2点に集約されます。
小児科における登園許可の判断では、基本的に解熱後24時間以上が経過していることが一つの明確な目安とされます。熱が引いた直後は、体内でウイルスと戦った体力が著しく消耗しており、免疫力も低下しています。朝に平熱へ戻ったからといってその日のうちに登園させると、集団生活の刺激によって午後から再び発熱したり、別の感染症を併発したりするリスクが跳ね上がるためです。
そして保護者が最も戸惑う「発疹が残っている場合の登園」についてですが、皮膚の水疱や赤い斑点が残っていても、本人が元気で痛がっておらず、機嫌よく過ごせているのであれば登園は可能です。手足口病の発疹は、赤みが引いて茶色っぽい色素沈着となり、完全に皮膚が再生するまでに1〜3週間ほどを要します。これらがすべて消失するまで休ませるとなれば、子どもの社会生活や保護者の就業は破綻してしまいます。小児感染症の専門医も「皮疹の存在そのものは登園制限の理由にならない」と明言しています。
ただし、注意深く観察しなければならないのは口のなかの症状です。治りかけに見えても、口腔粘膜にできた潰瘍(口内炎)が激しく痛み、水分や食事を満足に飲み込めない状態であれば登園は見送るべきです。集団生活の中で十分な水分補給が自力でできない場合、脱水症状に陥る危険が極めて高いため、主食が無理なく食べられる状態まで回復していることが不可欠な条件となります。