かくれキリシタンの信仰を特徴づける最大の要素が、オラショと独自の信仰形態です。「オラショ」とはラテン語の「オラツィオ(祈り)」に由来する口承の祈祷文ですが、何世代にもわたって秘密裏に口伝されたことで、元の言葉の意味が失われ、一種の呪文や祝詞のような独特の節回しを持つ祈りへと変容しました。
さらに、隠れキリシタンの習合宗教的特徴として、日本の神道や仏教、土着の先祖供養との高度な融合が挙げられます。仏壇の中に御神体や十字架を隠すのではなく、仏壇そのものや神棚、屋敷神をも尊崇の対象とし、「納戸神(なんどがみ)」と呼ばれる掛け軸や御札を納戸の奥に祀る形式が定着しました。カトリックの教義からは離れたものの、日本の精神風土と過酷な歴史が生み出した唯一無二の宗教文化として評価されています。
しかし、かくれキリシタンの現在と継承は極めて深刻な岐路に立たされています。過疎化や高齢化、後継者不足により、信徒組織の解散が相次いでおり、平戸市生月島など一部の保存会や地域を除いて、生きた信仰としての存続は急速に失われつつあります。