端末が熱くなった際、インターネット上の不確かな情報を鵜呑みにして誤った冷却を行ってしまうユーザーが後を絶ちません。その最たる例が、スマホを保冷剤や冷蔵庫で冷やす危険性です。
熱いスマートフォンを保冷剤の上に置いたり、冷蔵庫・冷凍庫へ入れたりすると、筐体の表面温度は急速に低下します。しかし、この急激な温度差こそが最大の罠です。端末の内部空間に含まれる空気が急冷されることで、内部の金属基板や精密パーツの表面にびっしりと水分が付着する「内部結露」が発生します。
内部結露によって生じた水滴は、防水仕様の端末であっても防ぐことができません。結果として、水没事故と全く同じ原理で電子回路がショートし、基板の腐食や再起不能の故障を引き起こします。メーカー各社が保冷剤や冷蔵庫の使用を厳禁としているのは、この物理現象が理由です。
また、昨今注目を集めるスマホ放熱シートの効果についても、正しい理解が求められます。グラファイトや熱伝導シリコンを用いたシートは、熱を一点に留めず筐体全体へ効率よく拡散させる役割を果たしますが、熱そのものを消滅させる魔法のアイテムではありません。通気性の悪い密着型TPUケースの内側にシートを挟み込んでも、熱の逃げ場が遮断されてしまい、かえって保温効果を生んでしまうという逆効果のケースも散見されます。
扇風機の風に当てる、あるいは熱伝導率の高いアルミ板の上に置くといった「自然な熱移動」を促す方法こそが、結露リスクをゼロに抑えながら最も安全に端末を冷ます正攻法です。