旅客機が白を選び続ける最大の理由は、物理的な熱エネルギーの制御にある。高度上昇に伴い強烈な日光を受ける機体表面において、白いペイントは非常に優れた太陽熱反射効果を発揮する。熱の吸収を抑え、機内温度の上昇を防ぐことで、地上待機中のエアコン負荷や機体構造への熱ストレスを大幅に軽減できるからだ。
そしてもう一つの決定的な要素が重量削減である。ダーク系の塗料で機体全体を覆う場合、発色を良くするために多層塗りが不可欠となり、塗料全体の重量が数百キログラム単位で増加してしまう。一方で白は薄い塗膜でも十分な隠蔽性を持つ。わずか数%の重量ダウンであっても、何万時間ものフライトを重ねる中で消費する燃料費は数千万円単位で変わるのだ。さらに、数年ごとの塗り替えにかかる費用やリース返却時のコスト抑制という観点からも、汎用性の高い白は航空会社にとって圧倒的に有利な選択肢となる。