築地市場の歴史を語る上で欠かせないのが、「場内(じょうない)」と「場外(じょうがい)」の明確な区別です。2018年10月に豊洲へ移転したのは、東京都が管理する公設卸売市場である「場内市場」でした。移転の主たる理由は、施設の老朽化や衛生管理基準の高度化、物流動線の近代化にありました。
一方で、その周辺に自然発生的に発展した民間商店街である「築地場外市場」は、移転対象ではなく現地に残る道を選択しました。現在も水産・青果・精肉・乾物・調理器具などを扱う専門店が約400店舗軒を連ねており、プロの料理人から一般の観光客までを受け入れる「東京の台所」としての機能を維持し続けています。
さらに、場内移転に伴う仕入れ機能の低下を防ぐため、2016年には生鮮商業施設「築地魚河岸」が開業しました。仲卸の精鋭約60店舗が入居するこの施設により、一般客でもプロ品質の鮮魚を手軽に購入・飲食できる環境が整備され、街全体の集客力は盤石なものとなっています。現在ではインバウンド需要の完全復活も追い風となり、平日・休日を問わず連日国際色豊かな賑わいを見せています。