認知特性をめぐっては、インターネット上でいくつかの根深い誤解が流通しています。その最たるものが「視覚優位は天才肌」「言語抽象型は頭が良い」「聴覚優位は地味」といった、能力の優劣に結びつける言説です。これは医学的・心理学的に明確な誤謬です。
認知特性とは、情報を取り込む「入力ポート」の好みの問題であり、その先にある脳の処理能力や論理的思考力、いわゆるIQ(知能指数)の絶対値を決める指標ではありません。どれほど高性能なCPUを搭載したPCであっても、USB端子に無理やりHDMIケーブルを差し込もうとすればデータは流れません。それと同様に、適切なインプット形式を選択できているかどうかの問題に過ぎないのです。
また、視覚優位言語優位特徴を「白か黒か」の二元論で捉えてしまう過ちも後を絶ちません。人間は環境適応の過程で、ある程度は不得意な処理系を訓練によって補うことが可能です。重要なのは「自分の優位ルートを知り、エネルギー消費を最小限に抑える方法を確立すること」であり、特定のタイプに自分を閉じ込めることではありません。