メディアリテラシーの観点から本作を再検証すると、ネット上で流布した「花のち晴れ=大失敗」という言説には重大な認識のズレが存在することが分かります。最大の盲点は、2018年という時代が「テレビの評価基準が根底から覆りつつあった移行期」だったという事実です。
現在では各テレビ局が番組の成否を判断する際、世帯視聴率ではなく「コア視聴率(13歳〜49歳前後の個人視聴率)」や「TVerのお気に入り登録数・再生回数」を最重要指標として位置付けています。しかし2018年当時は、まだメディアが世帯視聴率という旧来の指標のみをニュースの見出しに採用していました。世帯視聴率は高齢層の在宅率に大きく左右されるため、若年層に極端に刺さる学園ラブコメディは、構造的に世帯の数字が低く出やすいという特性を抱えていたのです。
実際、TBSの営業局関係者やスポンサー企業の間では、購買意欲が極めて高い10代〜30代の女性層をこれほど強固に囲い込んだドラマは稀有であるとして、商業的な広告効果は極めて高く評価されていました。グッズの売れ行きや関連書籍の消化率、配信プラットフォームへの新規会員流入数など、ビジネス面での多大な貢献度を無視し、世帯のパーセンテージだけを切り取って「爆死」と決めつけたネット記事の論調は、完全に一面的な偏見であったと言わざるを得ません。