SNSや転職広告では「27歳で年収500万〜600万円は目指せる当たり前の基準」といった言説が飛び交っています。しかし、キャリアデータと労働環境を多角的に分析すると、そこには大きな盲点が潜んでいます。
見落としてはならないのが、「労働時間・時間外手当によるかさ上げ」の存在です。同じ「27歳・年収500万円」であっても、その実態は2通りに分かれます。
1つは、基本給が高水準で所定内労働時間が短く、年間休日も125日以上確保されている「真の高待遇企業」。もう1つは、基本給は20万円強と低めに設定され、月45〜60時間におよぶ過密な残業代や深夜手当、休日出勤手当が積み重なって額面500万円に到達している「労働集約型企業」です。時給換算した場合、後者はアルバイトの水準と大差がないどころか、心身の健康を損なう極めてハイリスクな状態にあるケースが珍しくありません。
さらに、近年警戒すべきなのが「固定残業代(みなし残業代)トラップ」です。「月給35万円(固定残業45時間分を含む)」といった条件では、過酷な時間外労働を強いられても追加の残業手当がほとんど支払われません。額面の年収数値だけを追い求めた結果、ワークライフバランスが崩壊し、20代後半の貴重な自己投資の時間を奪われてしまう若手ビジネスパーソンが後を絶ちません。
年収500万円という数字は確かに魅力的ですが、「その金額はどのような労働環境の対価として支払われているのか」「持続可能な働き方なのか」という質の検証を怠ることは、致命的なキャリアの挫折を招く要因となります。