ソーシャルメディアや大手掲示板で定期的に沸き起こる「年収700万なのに贅沢できない」「生活が苦しい」という叫び。ネット上では「単なる甘え」「浪費が原因」と一蹴されることも少なくありませんが、現場で暮らす当事者たちの証言を丹念に拾い集めると、そこには構造的な罠が存在することが見えてきます。
大手総合電機メーカーに勤務する30代後半の男性社員は、都内での生活感を次のように明かします。
「残業と成果評価を重ねてようやく額面730万円に届いた時は、胸を張って家族を養えると思いました。しかし、妻と小学生の娘2人と暮らす都内の3LDK賃貸は家賃だけで月18万円。食料品や日用品の物価高騰が止まらず、毎月のカード明細を見るたびに胃が痛くなります。会社の同僚やママ友との付き合い、年に1度の帰省で貯金は一気に目減りする。デパートで値札を見ずに買い物するような優雅な生活とは完全に別世界です」
特に顕著なのが年収700万の東京生活感です。首都圏、とりわけ東京23区内ではファミリー向け分譲マンションの平均価格が1億円の大台を突破し、賃貸相場も歴史的な上昇を記録しています。都心アクセスが良いエリアに暮らそうとすれば、住居費だけで手取り月収の半分近くが吹き飛ぶ計算です。
さらに年収700万が贅沢できない理由に拍車をかけているのが、インフレと教育の過熱です。首都圏では中学受験率が過去最高水準を更新し続けており、子ども1人を大手進学塾に通わせるだけで小4〜小6の3年間で総額250万〜300万円超の教育資金が消えていきます。子どもが2人いればそれだけで家計は限界に達します。「平均以上の所得があるはずなのに、外食は回転寿司やファミリーレストランが限界」という声が現場から漏れるのは、決して誇張ではない現実です。