国家錬金術師たちが人間兵器として投入された「イシュヴァール殲滅戦」において、キンブリーの価値観はもっとも先鋭化していました。同僚の錬金術師たちが自らの手に染まった血に苦悩するなか、キンブリーはマスタングやホークアイに対し、核心を突く痛烈な言葉を投げかけます。
「自らの意思で軍服を着たはずだ。自ら選んだ道で人を殺しておいて、なぜ今さら被害者の顔をするのか」
命を奪う覚悟も背負わずに戦場に立つ欺瞞を激しく糾弾したこのセリフは、彼の揺るぎない死生観を示しています。敵を殺す以上、自分がいつ殺されても文句は言えない。戦場という舞台において、勝者が生き残り敗者が散るという等価交換の掟を受け入れていたからこそ、彼は自らの残虐行為に対しても一切の逃げ道を作りませんでした。
戦後、賢者の石の返還を求めた上官たちを爆殺して投獄されたエピソードも、組織の都合で都合よく利用し廃棄しようとする軍上層部の「不誠実さ」に対する彼なりの処罰でした。