「運鈍根(うんどんこん)」とは、商売や事業で成功を収めるために不可欠とされる3つの要素を端的に表した四字熟語に近い金言です。まずはそれぞれの文字が持つ本来の定義を分解して確認してみましょう。
・運(うん):巡り合わせや好機。自分の実力を過信せず、巡ってきたチャンスに感謝して乗る謙虚さ。
・鈍(どん):小利口に立ち回らず、愚直でどっしり構えること。目先の批判や損得に一喜一憂しない鈍感さ。
・根(こん):どんな逆境にもめげず、泥臭くやり遂げる根気や粘り強さ(グリット)。
この言葉の由来を遡ると、江戸時代の商人道に行き着きます。山東京伝の戯作『四十七石名残の引摺』(1801年)などの町人文学にも登場し、元々は近江商人や大坂商人の間で「商いで身上(しんしょう)を立てる秘訣」として口伝されてきた商人訓でした。
「誰の言葉か」という問いに対しては、特定の個人がゼロから生み出した著作物というより、江戸から明治にかけての商業者コミュニティで磨き上げられた集合知と捉えるのが正確です。その後、パナソニック創業者である松下幸之助氏やホンダ創業者の本田宗一郎氏といった近代を代表する名経営者たちが折に触れて言及したことで、日本を代表するビジネス成功哲学として定着しました。